名古屋シャチホコ教
 

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で、なぜお姉さんとシャチホコが結びつくのかというと・・・。
じつは、お姉さんのマンションの鍵にはキーホルダーがついていて、それがなんと、金色に輝くシャチホコだったのです。

見た目も中身も、普通の人以上におしゃれなお姉さんには、冗談抜きで似つかわしくないもの。
それを見たとき、わたしたちは本当に驚き、言葉をなくして突っ立っていました。

そんな漫画のようなわたしたちの反応にお姉さんは気づき、
「あぁ、これ?」
と、金のシャチホコを目の高さまで上げてみせました。

「わたしの宝物♪」
さらに、言葉をなくし、返答に困るわたしたち。

お姉さんはくすくす笑いながらマンションに入り、ゆっくり説明してあげるから、と、わたしたちを部屋の中へうながしました。

お姉さんと彼氏さんは学生時代から知り合いだったそうなのですが、卒業後、何年かして偶然にも名古屋城でばったり出会ったそうです。
彼氏さんは、ボランティアで老人会の付き添いに。
お姉さんは、仕事関係の外国人さんを連れて。
お互いに、話したい気持ちはあったけれど、時間もないことから連絡先をすばやく交換し、その日はそこでお別れ。

後でわかったらしいのですが、お互い久しぶりに会って、すごく素敵に変わっているな、と感じていたそうです。
その気持ちが彼氏さんの方が強かったのか、その日の夕方にはお姉さんにメールが入ったとか。

そのときは、お姉さんの方がお仕事も忙しかったようなのですが、彼氏さんの強い希望で、その週の週末に、また名古屋城で会う約束をしたそうです。
ますます綺麗になったお姉さんを前に、きっと彼氏さんは舞い上がっていたのでしょう。

お土産もののコーナーで、再開の記念にとお揃いのものを探したらしいのですが、そこは名古屋城。
やはり目に付くものは金のシャチホコ。
思わず、綺麗に輝いていたであろうそのキーホルダーを買ってしまったらしいです。

お仕事の電話が入り、席をはずしていたお姉さんが戻ると、彼の手には小さな袋が2つ。
そのひとつを手渡され、中から出てきたシャチホコに、彼氏さんが、
『今日の記念に。』
外見はすごくおしゃれになり、格好良くなったとも感じていた彼氏さんの、昔に戻ったような素朴な行動に、お姉さんは久しぶりに大爆笑したとか。

そぅいえば、就職してからこんなに笑ったことなかったなぁ、と、あらためて自分があまりに毎日を必死に過ごしていたことに気が付いたそうです。

その日を境に、お姉さんは心に余裕を持つようになり、不思議とそれに比例するように仕事もプライベートも上手く行くようになりました。
それからも彼氏さんと、時間を合わせては会うようになり、お互いに必要な存在になったそうです。

その金のシャチホコは、彼氏さんとの思い出のキーホルダーであると同時に、今のお姉さんのようになるための、大切なものを気づいたきっかけになる『宝物』なんだとか。

その話しを聞き終わったわたしたちは、それまで『変てこ』なキーホルダーに見えていたのですが、金色に光る宝物に見えたのだから不思議です。

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